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「にわとり辞典」episode-3

ポストバイオティクスの世界
🐓「にわとり辞典」
episode3 孵化日数の厳格化
「孵化日数を決める生まれ方の2大戦略、なぜ全員きっちり21日で孵化するのか」
*温度・湿度・卵の大きさによって2〜3日前後することがあります。
地上での巣作りに特化した生存戦略の限界が、21日だった!
■留巣性(るすせい):「卵の中は短く、外でじっくり」育てる鳥
鳥の種類:スズメ・ツバメ・インコ・ハト・タカ
戦 略:孵化まで10〜18日と極限まで短縮。その分、生まれたヒナは羽毛もなく、目も開いていません。安全な木の上の巣で、親鳥が口移しでエサを運んで子育てする。
■離巣性(りすせい):「卵の中で完璧に育てて、すぐ逃げる」鳥
鳥の種類:ニワトリ(セキショクヤケイ)・キジ・アヒル・ダチョウ
戦 略:地上に巣を作るため、未熟に生まれるとすぐに天敵に食べられてしまいます。卵の中で「目が見える、羽毛が生え揃う、自分の足で走れる」まで成長します。
①産み落とされた卵が外気に触れて冷えると卵白と卵黄が熱圧縮で縮み、鈍端側の膜が破れます。すると殻の表面のミクロな穴(気孔)から空気が吸い込まれて、気室が作られます。
■気室の酸素は、卵の中のヒナが育つ18日目に皮膚呼吸から肺呼吸を始める時のための準備です。
②親鶏は、数日かけていくつかの卵を産みますが、全ての卵が揃ってから温めます。
■卵をコロコロ回す「転卵」は、ヒナの元になる胚/幹細胞が殻にくっつくのを防いだり、温度や酸素を均一するためで、肺呼吸を始める18日目にこの作業を終了します。
37.5〜38.0℃で温め始めた瞬間に全ての卵の細胞分裂が「同時に一斉スタート」
③生死を分ける「21日目の限界スケジュール」は、非常にシビアです。
■20日目以前に生まれる:おへそから雑菌が侵入して「感染死」
■22日目以降に生まれる:気室の酸素が完全枯渇して「窒息死」
ヒナの体が完成するタイミングと卵の中の酸素が限界を迎えるタイミングが進化の過程で「21日目(504時間)」に完璧にチューニングされました。
④ヒトの細胞分裂とは異なり、鳥類ならではの非常にユニークな分裂の仕方をします。卵黄のてっぺんにある、わずか直径数ミリの「胚盤(はいばん)」という白い小さなスポットの幹細胞だけが細胞分裂し、これを盤割(ばんかつ)といいます。
■また、卵黄から栄養を吸い上げる「血管網」と「卵黄嚢」の形跡として、消化器官にメッケル憩室(episode-1 鶏の消化プロセス)が残ります。*ヒトにもあります。
⑤さらに驚くべきことに、同じ巣の卵たちは、生まれる直前にお互いにコミュニケーションをとって時間を「きっちり」合わせています。
■クリック音(はしうちの音): 生まれる1日前(20日目)、卵の中のヒナは殻の内側をクチバシの先の突起/卵歯(らんし)で「チッ、チッ」と叩き始めます。
■音の同調(同調孵化): この振動や音は隣の卵に伝わります。成長が少し遅れている卵があっても、隣からの「チッ、チッ」という音を聞くと、「あ、もう生まれる時間なんだ!」と心拍数や代謝を急激に上げて、成長の遅れを取り戻します。
⑥野生のセキショクヤケイにとって、ヒナがバラバラに生まれると、先に生まれたヒナの鳴き声で天敵に巣が見つかってしまいます。そのため、全員できっちり21日目を守り、数時間以内に全員が一斉に生まれてすぐに巣立つという生存戦略をとっているのです。
■現代のニワトリは、この野生を生き抜くために磨き上げられた時計の文字盤のような仕組みを持つセキショクヤケイの「21日タイマー」を受け継いでいます。
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