酸素を作る海の生き物・後編

これらの菌には高度好塩菌や温泉や熱水噴出孔などに見られる好熱菌などがあり、私たち人類から見れば極めて過酷な環境にも分布している事から、条件的にこの頃に誕生したのは嫌気性の古細菌と考えられています(化石も見つかっている)。つまり初めて誕生した生物は嫌気呼吸をしていた事になるのです。

32億年前ーこの頃、二酸化炭素と太陽光を使う「藻類」=ラン藻「シアノバクテリア」が出現し、光合成によって酸素が作り出され、海水に留まる様になりました。

27億年前ー酸素ガスが海洋から溢れ始めたのは、大規模な大陸変動によって浅瀬が作られた為です。大気に酸素が含有するようになってオゾン層が生まれました。成層圏中では、酸素分子が太陽からの242nm以下の波長の紫外線を吸収して、光解離し酸素原子となり、この酸素原子が酸素分子と結びついてオゾンとなります。また生成されたオゾンは320nm以下の波長を持つ紫外線を吸収し、酸素分子と酸素原子に分解するという反応も同時に進行します。

つまり、オゾン層は太陽からの有害な紫外線の多くを吸収し、地上の生態系を保護する役割を果たす様になり、地上の生物誕生の受け入れ態勢が整ったという事です。この頃になると、好気性生物も次々誕生します。

24億年前ー酸素の大量発生が起こった時期に、他の元素と結合していない多くの遊離酸素が海中や大気中に溢れ、当時の嫌気性植物の大量絶滅を引き起こした事がありました。しかしながら、酸素を用いる細胞呼吸を獲得した好気性生物は、より多くのATP(アデノシン三リン酸)を作り出せる様になり、地球に生物圏を形成した、というのが有力説です。この光合成と酸素呼吸は真核生物への進化をもたらし、これが植物や動物などの複雑な多細胞生物が生まれるに至る第一歩となり、光合成細菌もあちらこちらで活発に活動し始めます。自由生活の褐虫藻など(高等な構造を持った真核生物)の渦鞭毛藻もこの頃に誕生したのではないか、と推測されています。

17億年前ーこの頃になると、大気中の酸素含有率比は10%に達します。

8億年前ーついに二酸化炭素と酸素の比率が逆転しました。

5億4千万年前ー大気中の酸素比率は不安定ながら15〜30%の間で推移していました。陸の上が安全になると生物は次々と上陸し始めます。最初に上陸したのは植物です。陸上生物は約5億年前に出現しました。海の浅瀬から低地の沼へと徐々にその生息地域を拡大、続いて節足動物などの無脊椎動物が上陸し、最後に両生類が上陸したのです。

これらの動植物は短時間で大変な進化を遂げ、どんどん活動的になります。例えば植物には体を支える為の根や茎・葉が発達し、動物では両生類の中から脊椎動物が現れます。またサンゴの先祖が誕生したのもこの時代と云われています(中国・陝西(せんせい)省にある地層から最古の祖先化石が見つかる)。

3億年前ー陸上動物であるシダ植物が大繁殖しました。現在、化石燃料として使われている石炭の殆どが、この時代に出来たものです。同じ頃、大気中の酸素含有率は最大で33%までに達し、昆虫や両生類の大型化に作用した可能性があるというのです。またこの頃にサンゴと褐虫藻の共生生活も始まったと考えられています。

400万年前ーこの頃、ヒトと類人猿の中間に位置するアウストラロピテクスがようやく出現、やっと私たちの出番が来ました!私たちヒトの歴史ってまだ始まったばかりなんですね。

駆け足での地球誕生46億年の歴史はざっくりこんな感じですが、いかがでしたでしょうか。

現在、地球の大気中に含有する酸素量は約21%で安定しています。この内、ほぼ100%が光合成によって水が光分解される事で生じ、大気中の酸素70%を海洋中の緑藻類やシアノバクテリアが、残り30%を陸上の植物が作り出しています。

生命誕生に関しては諸説ありますが、概ねこれらが現在の最有力説であり、全ての生物は太古の海で生命を育んでいて、これが最初の生命誕生の過程であり、水が生命の源と呼ばれる理由なのです。嫌気性バクテリアが私たち人類の祖先であるというのも、うなずけますね。

現在、私たちは文明の発達によって清潔で便利な生活を送り、豊さと長寿を手に入れました。同時に酸素を生産してくれている海や森林などの自然も大切に利用したいものです。

*好気性細菌または好気性生物=酸素に基づく代謝機構を備えた生物で、私たち[ヒト](厳密のは偏性好気性)もこちら。
*嫌気性細菌または嫌気性生物=好気性生物と対立する生き物、或いは増殖に酸素を必要としない生物。

カテゴリ:地球誕生